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当院のホームページの改訂 

スマホ全盛の時代に合わせて当院のホームページの改訂を行っています。
この中に更年期治療の項目があり、テストステロン補充療法についても解説いたします。
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更年期女性における男性ホルモンの果たす役割 (最終回) 

夫婦愛は百薬にも勝る(浄慶・妙慶像)

 これは室町時代に描かれたある夫妻の像です。当時の京都妙蓮寺の有力な檀家であった渡辺浄慶妙慶夫妻の像は、日本でも数少ない夫婦が描かれた肖像画ですが、仲むつまじかったであろう生前の情景が目に浮かびます。
 スーザン・ラコー博士は女性としての自らの経験から更年期を「海図もない未知の大海原への船出」と表現しましたが、更年期という荒波を乗り切るにはホルモン補充療法以外にもいろいろな方法があるでしょう。
 「私を理解し支えてくれるやさしい夫がいれば、ホルモンのお薬はいりません」とおっしゃる方もあります。もしそれがこの渡辺夫妻のように可能であるなら素晴らしいことだと思います。まさに「夫婦愛は百薬にも勝る」と言うことでしょう。しかし残念なことに、昔も今も心やさしい夫は期待されるほど多くはありませんでした。そのような場合も含めて、誰でもいつでも利用可能なホルモン補充療法が1つの選択肢となってもいいと私は考えています。欠落したホルモンを補充することによって今までの老年期のイメージを変えることが出来るとすれば、それは女性にとっては十分に価値のあることではないでしょうか。
 女性ホルモンは日本でもやっと市民権が認められるようになりました。これからは男性ホルモンであるテストステロンが、「昔の自分に可能な限り戻りたい」という女性の願いを叶え、生活に張りと潤いを与えるような心の基礎化粧品として役に立つことを、本日の講演で皆様にお伝えしたいと思っておりましたが、いかがでしたでしょうか。

ご静聴有り難うございました。

画像は、奈良女子大学 加須屋誠博士のご好意によるものです。

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更年期女性における男性ホルモンの果たす役割 (12) 

天道絵

 余談ですが、ここに描かれている宮殿は帝釈天の住まいであります。帝釈天は武勇の神様ですが、お酒も女の人も大好きな神様でした。主人公の天女はかってそこで雄々しい帝釈天と楽しく暮らしていましたが、ある時帝釈天は心変わりをして、彼女を見捨てて去って行きました。それに同調し他の天女達も彼女に冷淡になってしまいました。こうして老いた天女は孤独で寂しい暮らしを送らなければならなくなったのです。昔から男女の仲は難しかったようです。
 さて、生物学の知識では、ほとんどの動物は自然の状態では閉経を迎える前に死んでしまうそうです。したがって天人五衰の描かれた平安時代末から鎌倉時代にかけては平均寿命が50歳ぐらいですから、閉経後も生き続けた女性はほとんど無かったと思われます。その意味では四十~五十歳の女性は老人と見なされていました。しかし今では医学の進歩によって平均寿命が80歳を超え、特に多くの女性が生き生きとしたしかも自立した更年期以降の人生を楽しみたいとと思うようになっています。

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更年期女性における男性ホルモンの果たす役割 (11) 

天人五衰

さて、三島由紀夫の小説に「春の雪」から始まる「豊饒の海」という4部作がありますが、その中に天人五衰(てんにんごすい)という章があるのをご存じの方も多いと思います。天人五衰とは、仏典に現れた老いの症状を述べたものですが、そこに現れた「五つの衰え」とは、冠の花飾りがしぼむ、羽衣が垢に汚れる、腋の下に汗をかく、目が見えなくなる、日々の生活が楽しくなくなるというものです。これらの症状は紛れもなく更年期障害の症状で、特に最後の「日々の生活が楽しくなくなる」というのは、今までに述べてきましたテストステロンの欠落によるものに間違いないと思うわけであります。

天人五衰
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更年期女性における男性ホルモンの果たす役割 (10) 

NAMSの勧告

 '90年代以前では、女性に対して男性ホルモンを投与することは、アメリカでもほとんど行われていなかったようです。1993年の北米更年期学会の総会でのアンケート調査によれば、女性にテストステロンを処方している医師の割合は約50%でした。しかしここ数年はサテライトシンポジウムのテーマとして、更年期の女性に対するテストステロン補充療法が取り上げられるようになり、2001年の総会のシンポジウムでこのような勧告を出しています。また先週埼玉で開催された日本更年期学会の招請講演でも、シンシナチ大学のDr. Gassはアンドロゲン欠乏症の存在を認めた上で、これらの症状に対するテストステロンを初めとする各種の薬剤でFDAで正式に認められたものはまだないと述べています。いずれにしろテストステロンは「男性」ホルモンではあっても、「男性―専用」ホルモンではないことを、改めて強調したいと思います。

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